ｶﾁｯ。VEさんは幾度となく抜き差ししてきたであろうSONY RCP用コネクタ。

正式名称はヒロセ電機 MXRコネクタ。

実はこのコネクタ、SONY RCP-3500 Seriesが発表された直前だったか直後だったか定かではありませんが、

製造元のヒロセ電機より販売終了が告げられています。

生産終了日は2024/11/30とされていますが、概ねどこの代理店も注文受付を終了、在庫限りとしているようです。

弊社でもある程度のコネクタを在庫していましたが、惜しくも先日の発注が最後となってしまいました。

現状は？

私が映像業界に入ってから、このコネクタを見かけたのは以下の3製品群です。

・SONY カメラヘッド・ENGカメラ、CCU、RCPのリモート端子

・Canon RC-V100 Remote「B」端子、およびCINEMA EOSや超高感度カメラのRemote「B」端子

・Ikegami OnePack DVF棚板 アナログオーディオ入出力コネクタ

これらのうちCanonとIkegamiに関しては、いずれも使用製品数が僅かの為、大きな問題にはならないだろうと予想しています。

一方SONYに関しては20年以上このコネクタを使用してきました。サードパーティ製品も然りです。

数百、あるいは数千の製品がこのコネクタを採用しています。生産終了となれば流石に対応せざるを得ないでしょう。

次の新製品で変化はあるでしょうか？

(VF端子のようにSONY専用仕向品を作る可能性も無くはないですが…できれば無いことを願って(笑))

LAN接続だけになるか？

ここで改めて各社システムカメラの接続方式を見てみましょう。

SONY：HIROSE MXR+LAN

Ikegami：TAJIIMI PRC+LAN

Panasonic：HIROSE HR10A(10P)+LAN

Hitachi：HIROSE HR10A(4P)+LAN

GrassValley：MiniDIN(8P)+LAN

どうでしょうか、最新機種でもRS422による接続は残っています。

RCP-1500 SeriesではLANケーブルによる(PoE給電&制御が可能になり、専用品であるCCA-5ケーブルは必須条件ではなくなりました。

しかしIPによる若干の制御遅延や、L2 PoEスイッチが必要になること、更にセットアップの煩雑さもあり、CCA-5ケーブルでの接続を好む方も多いといいます。

カメラやCCUにPoEの給電機能(PSE)があればスマートなLAN接続が可能ですが、ENGカメラにその機能が乗る可能性は低いでしょう。

それぞれの通信の特性を考えると、どちらか一方だけ残せば良いという選択は難しいように感じます。

MXRの代替となる小型丸型コネクタは？

筆者としては、HR10A(10P)コネクタを採用してもらえたら一番嬉しいですね。

理由は以下の通り。

・すでにレンズ接続や、DC OUTコネクタなどにも使われている(=圧着工具を流用可能)

・産業機器にも使われており、安価かつケーブルもアセンブリで手に入りやすい

・はんだだけではなく圧着も使用可能

・ジャックコネクタがラインナップにある(＝延長ケーブルが気軽に製作できる)

・Panasonicと同じ！(中古屋さんの心情です笑)。電源のピンアサインまで揃えてくれれば短絡事故防止も完璧ですね。

今後はどうなっていくでしょうか。注目していきたいと思います。

余談

SONY純正の白いケーブルってとっても硬いですよね。

先日、「柔らかいリモートケーブルを作って欲しい」とご依頼がありました。(ｼｮｯﾌﾟ掲載はありません)

柔らかいのでご覧の通りト音記号を描くことも出来ます。

電圧降下があるので長尺は製作できませんが、卓上で使うには嬉しいケーブルになりました。

この端子、当然ながら専用の工具を必要とするのですが…

メーカー純正HR10A-TC-04圧着工具は、当然ながら非常に高価で、尚且つかなり早い段階からディスコンになっていました。

端子の圧着と異なり、そこまで精度を要求されるものではないので、自社開発の圧着ダイスを作って使用しています。

映像業界・弱電設備業界ではおなじみ？のCANARE(Pressmaster)の圧着ペンチ用です。

ご希望があれば販売することも可能です…(弊社以外に需要はあるのでしょうか…)

ちなみに製作時の💰️は純正工具の1/4くらいでした。お得！

純正治具もあるのですが、HR25A,MXR,HR10Aと多岐にわたる治具を集めていたら大変なことになってしまいますので、これも自作しています。

と、思い出のある端子なので廃盤になるのは少し寂しいのです(笑)